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Channel: 特撮大魔王のオタク趣味満喫日記
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私がハピネスチャージプリキュアを嫌いな理由 ④敵に悪役としての魅力がない

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ヒーローもので、バトルもので、一番大切な「要素」は何でしょうか?

主人公。
脇役。
派手な技。
教えを授ける師匠。
戦いの中にある壮大な背景。
心躍る世界観。

確かに色々な要素が合わさり、ヒーローものはその魅力を形成しています。

しかし、私はヒーローもの・バトルものにおいて一番重要なものは上のいずれとも違うものではないかと思っています。

私が一番大事だと思うもの。それは、悪役です。

何故か。
その手の作品においては、物語を動かす主導権は、倒されるべき敵が握っているからです。

例えば、ショッカーが存在しなければ、仮面ライダーの物語は成立しません
ベムラーが護送中に逃亡しなければ、ウルトラマンは地球にやって来ることはありませんでした。
ジオン公国が地球連邦軍に宣戦布告しなければ、ガンダムの話は始まりません。
ヤッターマンでは、毎回画面にお話の最初に姿を現すのはいつもの3バカです。

ヒーローとはある意味受動的な存在であり、悪役のゲスさ、強烈さ、恐ろしさが描かれれば、その分ヒーローも輝くというものです。

またまたまた具体例で恐縮ですが…
ドラゴンボールで、作者の鳥山明先生がラスボスとして想定していた悪役、フリーザ
慇懃無礼な態度、そしてその不遜さをしていても頷ける圧倒的な強さ
身内に優しく、自分の利益を損なう者に容赦しない嘗められることを異常に嫌い、戦う時はサディストそのものという、ヤクザの親分みたいな描かれ方があったからこそ、
読者は悪役である筈の彼に惹かれ、同時に、倒されることにカタルシスを得られるわけです。

バトルものにおいて、その作品がどれだけ魅力的になるかは、悪役にかかっている、と言っても過言ではないでしょう。


それを踏まえて、ハピネスチャージプリキュアの敵、幻影帝国を見てみましょう。

悪役としての彼らの目的は何でしょう?

それは地球を滅ぼすこと…と、当初は思われていましたが、驚くべきことに8月の末、実は「地球滅亡」ですら彼らにとっては手段でしかなかった、ということが判明しています。

幻影帝国の、いや、その首領であるクイーン・ミラージュの本当の目的。
それは、「自分を捨ててのうのうと暮らしているブルーへの復讐」でした。
彼女がブルーを憎むようになった理由については既に説明したので、省きます。

しかし、ミラージュのやっていることは、要するに「身勝手な理由で一方的にフられた腹いせ」以上の何物でもありません。
その経緯に同情の余地こそあれ、世界中の国々・人々を巻き込む必然性は、全くありません
何より、動機が悪の組織の首領のそれとしてはショボすぎます。

やってることのスケールはやたらデカいのに、変な所でみみっちい。
これは、彼女の悪役としての魅力を評価するにあたって大幅な減点になります。

どうせ復讐するのなら、家を破壊するとか、
彼の悪行を世界中に公開して一生お天道様の下を歩けなくするとか、
徒党を組んで泣いたり笑ったり出来なくしてやるとか、
もっと具体的な損失を与えるという手があった筈です。

※300年前=江戸時代には、離縁された女性が仲間と共に元パートナーの家に殴り込んでフルボッコにする「後妻(ウワナリ)打ち」というシステムがありました。

そもそも、彼は世界中の女の子を徴用して、アリコマンドの如く使い捨てにしているような男です。
「神として愛する全てのもの」とやらをどれだけ傷付けた所で、あの青い奴に復讐と呼ぶに足る精神的ダメージを与えられるかは微妙な気がします…


それと、幻影帝国の幹部たちの中で、(多分)日本担当であり、カメラに写っていた唯一の幹部。
ナマケルダ・ホッシーワ・オレスキーの3人の描き方にも、問題があります。

一番の問題は、悪役として、「何故その主張を持つようになったのか」という話が描写も説明もされておらず、ことごとく思わせぶりな台詞だけで終わっていることです。

口を開けば「面倒くさい、面倒くさい」と言っておきながら割と出撃回数が多かったナマケルダ。
声が驚きのJカップを誇る某爆乳航海士と同じ声優なおかげで薄い本を厚くしてくれるホッシーワ。
声が某吸血鬼や某酢昆布と同じ声なおかげでイジるのに困らないオレスキー。

彼らが物語の中で持っていた主張はこんな感じでした。

ナマケルダ→面倒くさいから努力なんてやめてしまえ(何故か特に恋愛が絡むと変に首を突っ込んでいました)
ホッシーワ→欲しいものは奪ってでも全て自分のものにしたい、人の不幸でメシウマ、後お菓子食べたい
オレスキー→この世界では俺が一番だ ナンバーワンだ それを阻むものは何物であろうとも潰す

ホッシーワさんの「お菓子食べたい」というのが悪役としては変に小さいことはさておき、
この3人、明らかに「悪堕ちするに足る過去が存在した」ということが明確に描写されています

例その1:シャイニングメイクドレッサー登場回で、フォーチュンに浄化されそうになった時

「思いだせ…お前の怒りと悲しみを!!」

というディープミラーの台詞で、憎しみを思い出して復活…
という流れだったわけですが、これを見せられたら当然皆さん思いますよね?

「この3人の過去に何が起きたの?」と。

で、結局何も描写されないまま死にましたねー…


ふざけんな馬鹿野郎!!


例その2:「裏切られる」とな?

後もう1つ思い出して欲しいのが、めぐみの誕生日話でのオレスキーのこの台詞

「誰も信じない!信じたって裏切られるだけだ!」

この台詞、何かの前フリなのかなと思ってたのですが、信じた私がバカでした
いやー、もう一度言うけど、まさか何もフォローしないまま殺すとはねえ、
お兄ちゃんビックリですよ、アハハ。

ナマケルダさんが昔ビジュアル系バンドやってたとかやってないとか言ってた気がするけど、何かもうどうでもいいわーアハハ。

なんでナマケルダさんが人様の恋愛を邪魔せずにいられない上に「恋の狩人」とか自分で言っちゃうようになったのか気になるけど、本人死んじゃってるからもう分かりようがないですねーいやー何だったんだろうなホント。

そしてそれに付随する問題点が浮上して参ります。
悪役になった経緯が分からないからその「人生哲学」に中身が感じられないのです。

さっき言った通り、彼らが悪役になった経緯は結局最後まで分からなかったので、何を言っていても「何故そう考えるようになったのか」が見えてきません。
なので、「否定されるべき敵の主張」に中身が感じられず、響かない&右から左へ抜けてしまうのです。

特に、ナマケルダは人の恋愛を何かある度邪魔していましたが、ネット上では「彼の過去に何があったの?!」と方々で騒ぎになっていましたね。
本人が具体的に嫌な目に遭っているのならともかく、何も提示されないまま「恋愛なんてしたって碌なことないじゃんかよ 恋愛するな」と喚かれても言いたくなるのはこの台詞だけ。

「人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られて地獄に落ちろ!!」 (byドモン・カッシュ)

しかも、動機が不明
せめて恋愛嫌いな理由くらい示して欲しかったです。


…そうそう、このことはラスボスであるレッドについても同じことが言えます

「幸せなんてあり得ない!愛なんてあり得ない!弐具誌美最高!」

と口を開けばそれしか言ってなかった彼。
彼も、ニクシミストになった理由が全く描写されてなかったので、言えるのはこの一言だけでした。

「お、おう」

…ラスボスでそれはダメでしょ。

そしてTamai-kei様の仰った通り、ニクシミストになった理由が、最終回1つ前である今週になってようやく公開されました。

「俺はこの星の神だった!でもこの星は滅亡した!もう嫌!あいつ(=ブルー)も道連れに死んでやる!」

とのことですが…理由が小せえよ!それでよくラスボスが務まるなオイ!

…多分あれでしょうね。悪に堕ちた理由を最後の最後で明かすっていうのはアレがやりたかったんでしょうね。
Gガンダムのマスター・アジアが、デビルガンダムに魅了された理由をラストバトルの場面で語り始めて「そんな理由があったのか!!」っていうアレと同じことをやりたかったんでしょうね。


ぽっと出のやつで同じことされてもカタルシスなんかねーよ!

マスター・アジアは序盤から「師弟としての信頼関係描写」「からの、裏切られたショック」の因縁描写やっといたからあのカタルシスが成り立ったんだよ!
それくらい分かれってんだよ!バーカバーカ!!


そしてここまで話題に上げてこなかった敵、ファントムですが…これについては私は正直申しまして怒りすら覚えています。

だって、やってることは要するにアレですよ?!

①世界中の女の子をバスタオル状態に剥いて、
②鏡棺桶に封印し、
③人生における貴重な時間を奪った
④それを何十人も⑤自分の意志で行っている

「ミラージュ様が心配だから」などという言い訳も、これは通用しません。
「信賞必罰」の項でも説明しましたが、「愛」も、「亜居」も、「阿意」も、悪事の免罪符にはなりません。

ついでに言うなら、彼はプリキュアたちが言わば「ブルーの尻拭いをさせられている尖兵」であるということは知っている筈なのですから、
あんなことしなくて良いってことくらい知ってて当然なんですよねー

言いたいことはこの一言。
「ひたすらやってることが不愉快なだけなんじゃこのボケエエエ!」


そしてそして、もう1つ敵全体のことについて気になった所があります。

所謂「強化イベント」が幻影帝国側に用意されていなかったことです。

「5」では、敵組織「ナイトメア」はプリキュア5が新技を編み出したりして苦戦していました。そしてこれに対し、ナイトメアは怪物「コワイナー」を生み出すアイテムが後半になって特別仕様になり、強くなったプリキュア5に対して従来より強いモンスターで対抗していました。

「フレッシュプリキュア」では悪の組織「ラビリンス」は「不幸汁の搾取」から「インフィニティの確保」へと目的がシフトしたのを受け、新幹部ノーザが生み出した不幸の種から、それ用の新しい怪物「ソレワターセ」を召喚して戦わせていました

私の一番のお気に入りである「スマイルプリキュア」では、怪物「アカンベエ」を生み出す支給アイテムは「赤っ鼻だけ→赤っ鼻+青っ鼻→デカッ鼻→黒っ鼻」という感じでおよそ3ヶ月に1回のペースで変化していました

考えてみれば、当然ですね。
ヒーローが強くなるのと並行して悪役にも強化イベントがなければ、物語に緊張感が生まれません。
正義と悪の戦いでは、「最後は正義側が勝利する」というのがお約束でも、一方的な試合運びは歓迎されないのです。

で、ハピネスチャージプリキュアと幻影帝国のそれぞれに起きた、戦局に影響するイベントを大雑把にまとめてみましょう。

ハピネスチャージ側

・キュアフォーチュンがフォーチュンピアノで変身して、ファントムに単騎で勝利する。
・シャイニングメイクドレッサー覚醒。フォーチュンが3幹部を1人でゴボウ抜き
・順次ハピネスチャージの4人がイノセントフォームに覚醒(でもトドメは毎回ハピネスビッグバン)
・4人がイノセントフォームに覚醒したことで、イノセントプリフィケーションを初めて発動


幻影帝国側

強化イベント、特になし


…いじめですよコレ。


新装備やら追加戦士やらが「ヒーロー側だけ」増えていくのを見せられても、私は全く燃えません。
何より、具体的に強くなれるような出来事が何も起きてないのに、3人がかりで勝てなかったフォーチュンたちを何故タイマンで圧倒出来るのか、私には納得が行きません。

ヒーロー番組とは、ある意味プロレスと通じる部分があります。

一方的な試合運びで行われるプロレスの試合が面白いでしょうか?
開始2秒で相手選手の首の骨を折って勝利するレスラーがウケるでしょうか?

敵が強くなければ、ヒーロー番組は面白くならないのです。


…そして、最後に1つ言わせてください。
なんであの3バカ以外誰も裁かれてないんだよ!


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