はい、晩御飯やら風呂に入るやらで時間が空きましたが、どんどん投稿していきます!
さてさて、京也くんのりんちゃんへの恋はどうなるか?
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〈4月♪日 午後12時07分 水無月邸 食堂〉
のぞみと仮面ライダー部のファーストコンタクトからおよそ1週間の時間が流れた。
場所はのぞみの友人、水無月かれんの自宅(屋敷?)。そこで、のぞみの大学入学祝いのお茶会が開かれていた。
顔ぶれは、のぞみ、りん、こまち、かれん、そして4人の友人・美々野くるみに…何故か弦太朗たち仮面ライダー部もいた(うららは収録があるので欠席)。
美「かれん、お久しぶりね。」
か「美羽も、大学2年になっても元気そうで良かったわ。」
風城財閥の娘である美羽と、同じく大富豪の娘であるかれんとの間には、昔からの親交があった。それでかれんは美羽とのぞみに頼まれ、一緒に弦太朗とその友人たちの入学祝いも兼ねることになったのだ。
お祝いされているのは、のぞみを筆頭に弦太朗、ユウキ、賢吾、流星、そして京也の6人。
改めてその場の一同で乾杯し、飲み物を口に運ぶ。20歳を越えているりん、こまち、かれんの3人はアルコールに手を出していた。
京「なんか、すみません。僕の入学までお祝いして貰っちゃって。弦太朗さんたちや流星くんならともかく、僕なんてタダの花屋のバイトなのに(^-^;」
か「いいのよ。あなたにはりんのぎっくり腰を治してもらったお礼をしてなかったもの。」
J「ほほお…流星さんのお友達でこんなすごい方がいらっしゃったとは☆」
京也はフラワーショップ夏木でアルバイトとして雇われていた。本来なら花屋でりんを見送って店番をしているはずだったが、りんを助けてくれたお礼を兼ねて今回のお茶会に招かれたのだ。勿論、京也の上司であるりんと和代もそれを快諾した。
く「…それにしてものぞみ、なんか色々とすごいやつと友達になったわね。」
か「私も美羽から話には聞いていたけれど、最初見た時ちょっとびっくりしたわ(^^;)」
り「ありゃ嫌でも一発で名前と顔覚えちゃうでしょ…」
のぞみとこまち以外の3人は弦太朗の見た目の話題になっていた。
こ「弦太朗くん、でいいわね?私、のぞみさんの友人の秋元こまちよ。よろしく。」
弦「お、はじめましてだな。こまちって呼んでいいか?」
こ「ウフフ、あなた面白そうな人ね。今度の小説の主人公、弦太朗くんをモデルにして書こうかしら(´∀`)」
こまちは早速弦太朗に興味津々になってインタビューに勤しんでいた。
こ「弦太朗くんは、なぜ友達になることにそれほどの喜びを見出す人になったの?」
弦「ああ、それはだな…」
インタビューを横でのぞみが見ているそばで、JKはかれんと美羽に媚を売っていた。
J「さあさあ、かれんさん!お酒はおれっちが注いであげますからね~☆ あ、美羽さんもどうぞ☆」
か「ありがとう…あなた、名前は何て言うのかしら。のぞみの友達の友達なら、名前くらい知りたいわ。」
J「神宮海蔵っす!みんなからはJKと呼ばれてるっす☆ ヨロピク~☆」
く「………」
いわゆる「逆玉」という奴を狙っているのか、ひたすらかれんと美羽のご機嫌取りに走るJKだが、その努力はいくら重ねたところで無駄であることは、本人のために言わないでおこう。
の「そういえば賢吾くんとユウキちゃんが入ったっていう工学部宇宙工学科ってどんな所なの?」
のぞみは賢吾とユウキの二人とお喋りに興じていた。
彼女が入学したのは、文系の教育学部。筆者と同様、理系は未知の領域なため、話題は「工学部宇宙工学科」になる。
賢「…俺たちが選択した宇宙研究専攻では、宇宙の彼方から送られてくる、プレゼンターからの信号をキャッチして解読したり、コズミックエナジーの性質を調査研究している。」
「プレゼンター」。「コズミックエナジー」。いずれものぞみにとっては全く未知のタームである。
わけがわからなくなったのぞみの口から、またもや「あの言葉」が飛び出した。
の「プ、プレ…?それって、プリキュアと関係あるの?」
賢「?」
ユ「…な、ないと思うな~私は…ね?賢吾くん( ̄◇ ̄;)」
「プリキュア」。のぞみたちにとっては聞きなれた言葉であるが、
賢吾たちが知るわけが…あった。
が、賢吾たちが問いただす前にりんが誤魔化しに来てしまい、うやむやにされた。
り「バカ!のぞみ!ちょっとこっち来なさい!…すみません、今のは聞かなかったことに…」
りんがのぞみの耳を引っ張って向こうに連れて行ったことで話相手がいなくなった所に、今度はこまちが近づいてきた。弦太朗へのインタビューを終えたので、今度は他のライダー部メンバーの話も聞くつもりだ。
こ「賢吾くんとユウキさん、あなたたちの話も聞きたいわ。インタビュー、いいかしら?」
…………
こ「なるほどなるほど…じゃあ、二人共卒業後はどんな進路にするつもりなの?」
飲み物とお茶菓子片手に、二人はこまちのインタビューに答えていく。
ユ「卒業したあとは私はJAXAに入って宇宙飛行士になるつもりですけど、賢吾くんは宇宙京都大学の大学院に行くつもりなんです!」
宇宙京都大学。名前のとおり、古都京都に学舎を構える、宇宙研究においては日本でもトップレベルを誇る専門大学で、「漫画じゃない方の宇宙『京大(兄弟)』」と言われるほどその業界では有名である。
こ「あら?雄大の大学院にも宇宙工学研究科はあるのに、なんで宇宙京大に行っちゃうの?」
賢「向こうには、この道の研究で最近頭角を現している美翔という若手の研究者がいるんです。俺はあの人の下でコズミックエナジーの研究を掘り下げたい。そう思っています。」
「美翔」…下の名前は和也といい、1年ほど前、22歳の時大学の卒論として発表した論文が宇宙研究の業界の第一人者の目にとまり、宇宙研究の実績では日本一を誇る宇宙京大大学院の研究チームメンバーとしてスカウトされた若き天才である。
現在、彼をスカウトした教授が急逝したのに伴い、急遽研究チームの後釜リーダーに就任。宇宙研究の道を志す若者たちにとっては憧れの的となっている。
こ「ありがとう。いい刺激になったわ。これ、取材させてもらったお礼よ。」
インタビューが終わった後、こまちはそう言って賢吾たちの手に小豆色の物体を握らせて次のインタビューに向かうのであった。
賢「これは…」
ユ「…羊羹?」
弦「…うん、美味い。」モグモグ
弦太朗もインタビューのお礼としてもらった羊羹を頬張っていたのだった。
ちょっと場面が変わる。
流「…あれ?」
料理やお茶菓子がどんどん運ばれてくる中、流星は京也がいつの間にか消えていることに気がついた。
流「あいつ、どこ行った?」
キョロキョロとあたりを見渡してみると…厨房から音が近づいてきた。
そしてドアを開けて入ってきたのは…
水無月家の執事である坂本さん、
と、その横で一緒に料理を運んでいる京也だった。
流「え!?…京也…お前…何してるんだ?」
京「何って…見ればわかるだろう。料理を手伝ってるんだよ。」
なんだってそんなことを。そう尋ねようとする前に、坂本さんが先に答えた。
坂「京也様が、私の作る料理を気に入って下さったようでして…近くで勉強させてほしいと仰るので快諾した次第でございます。」
坂本さんは料理をテーブルに置き、京也と一緒にまた厨房に戻っていった。
坂「さて、京也様。今度は焼きアイスクリームのつくり方をお教えしましょう。」
京「焼きアイスクリーム…?アイスを焼いたら溶けちゃうんじゃ…」
坂「ははは。本当に丸焼きにするわけではないんですよ…」
厨房に向かっていった京也を見て、りんはため息をついた。
り「ったく、百鬼くんったら。ここでまで料理の勉強だなんて…ま、お母さんたちも喜んでくれるからいっか。」
流「? どういうことだ?」
よくわからないことをりんが言ったので、流星はりんに質問した。
り「ああ、実はね…」
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時間を少し前に戻す。京也は、花屋のバイトとして夏木家に雇われていたのだが、京也はぎっくり腰を起こしたりんの体の診察もしていた。
京也は確かにりんの腰の痛みを消した。だが、痛みとは「このままだと体が深刻なダメージを受けるから早くこの苦痛の原因を取り除け」という救難信号であり、応急処置として痛みを消しても根本的な解決にはなっていない。まだりんの体には問題が残っている。自分が手を出した身として、ちゃんと治るまで面倒見たい。そう言って診察してくれていた。
背中が反れて腰に負担をかけないようりんを四つん這いにし、腰の上にそっと手を添える。触れもせずに一体何が分かるのかと聞くと、「夏木さんの下半身の気の流れに異常がないが診ている」とか。
京「…うううん…まだ脊椎の腱の腫れが少し残ってますね…」
り「あとどれくらいで治るの?」
京「僕が、毎日こうやって爽痛を突けばきっと早く治りますよ…このペースなら、あと2、3日で完治するかと。」
そう行ってりんの手をまた握り締め、秘孔を刺激する。
診察が終わった。気がつけば、もう時刻は5時を回り、夕食の準備をしなければならない時間だった。
り「あ、ヤバ!晩御飯作らなきゃ…!」
いつもの癖で台所に向かおうとするりんだったが、それを京也が止めた。
京「ああああ!だから!まだダメですってば!りんさんは安静にしてて下さい!」
り「でも…」
京「…じゃあ僕がやります。」
り「…はい?」
京「冷蔵庫の中にある食材、適当に使っていいですね?」
当然のことのように、京也はりんを休ませて料理を作ろうとした。
あまりに突然で、りんも「はい」と答えるしかなかった。
数十分後。花屋の店番をやっていた和代は、京也がいつまでたっても家から出てこないのに違和感を覚えていた。
和「…りんの診察ももう終わってるだろうし…トイレにしては長いわね…」
まさかサボっているのか。そう思って家の中に向かった和代を、食欲をそそるいい香りが出迎えた。
カレーの匂いだ。
しかし居間を見てみると、りんは京也に言われた通りソファで横になっている。ということはつまり…
和「京也くん…?」
京「あ、すみません、勝手なことしちゃって!晩御飯、作らせてもらってます!」
鍋の中では京也の手によって、グツグツとカレーが煮込まれていた。
京也はあくまでも花屋のバイトであり、夕食の準備は、京也の仕事のうちには入らない。家事代行サービスとして雇っているわけではないのだから。
だが出来ちゃったもんは仕方ない。この「越権行為」を責めるのは後にして、とりあえず和代はカレーの味見をした。
和「…おいしい。」
コクがある。と同時に、しつこくない。辛さも丁度いい。それでいて、野菜や肉から染み出した旨みが時折顔を出す。めちゃくちゃ美味い。
和代は京也を許すことにした。
30分後。家族揃っての食事の時間。夏木家の人々は京也が作ったカレーを堪能していたが、その横で、京也だけは食卓につかずに一人キッチンの掃除をしていた。
ゆ「兄ちゃんのカレー、美味いよ!」
あ「おいしい!」
和「ホント。京也君、料理上手ね。」
父「万能の人だな。」
夏木家の誰もが京也の料理を絶賛した。
り「夕食時だし、百鬼くんも食べたら?おなかすいてるでしょ。」
と言って京也も食べるよう勧めるが、
京「…結構です。僕が食べるために作ったものではないので。」
ストイックなのか、はたまた皆と同じ食卓に腰掛けるのが恥ずかしいのか、京也は拒否してしまった。
り「水臭いこと言わない!ほら、こっち来て一緒に食べよ!あんたが作ったんだから!」
京「いや、僕、あまりおなかがすかない体質なので」
グギュルルルルゥゥゥッ…
京「…あ////」
口ではいらないと言っていても「体は正直」というやつらしい。自分の言葉とほぼ同時に飛び出した腹の虫の音に赤面する京也を見て、夏木家の5人の顔から笑みがこぼれるのであった。
京也も夏木家のテーブルに着き、自分で作ったカレーを食べ始めた。
そこに、彼の「実力」を目の当たりにしている和代が提案してきた。
和「ねえ、京也くん…あんた、こんだけ料理上手なんだし…うちの家事手伝いのバイトなんてやってみない?」
京「…へ?」
和「お掃除もできるみたいだしさ!その分のバイト代も弾むから、是非やってよ!」
京也の手できれいになった台所を見て、和代はさらに推す。
京「…わかりました。」
こうして、京也は「フラワーショップ夏木」のアルバイト店員兼、夏木家の「家政婦」ならぬ「家政夫」として迎えられたのであった。
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り「ってわけ♪」
流「…珍しいな。あいつがそこまで人に自分から近づこうとするのは。」
り「?」
流(そこまで人は変われるのか…確かに、漢字は似てるよな。「恋」と「変」って。)
京也は人との間に壁を作りたがる性格で、積極的に人と友達になろうとすることはまずなかった。
どうやら昔、人と友達になることが怖くなるような「何か」があったらしく、誰かと口を聞くというのすら、一部の相手を除いて可能な限り避けていた。
それほどに人を恐れる京也が、
りんがぎっくり腰を起こした時には迷わず助けた。
その上、りんの家の花屋でアルバイトしたいなんて言い出した。
りんの体をいたわって、ご飯を作った。
道場で流星が見てきた京也の姿からは、想像もつかない行動だった。何か変な物でも拾って食べたのか。流星は最初そう思ったが、今では確信した。
「京也はりんに惚れている」と。
だが、好きという気持ちは本人の口から言わなければ意味がない。
流(…頑張れよ。)
そう心の中で呟き、黙って見守ることにしたのだった。
の「そうだ、りんちゃんもこっちに来なよ!」
のぞみがりんを弦太朗たちの所にまで引っ張って行った。
り「な、何よ…」
か「弦太朗くんが、あなたとも友達になりたいんですって。」
こ「私とのぞみさんはもうなったわよ~(=´∀`)」
如月弦太朗。かつて自分が通う高校にて「この学校の連中全員とダチになる男」を名乗った彼は、現在になって「この世界に生きてるやつ全員とダチになる男」にバージョンアップした。
大学の入学式でのぞみと友達になり、さっきこまちとも友達になったという。
ファーストコンタクトから友達になるまでかかった時間は、のぞみとは30秒、こまちとは15分。早い。彼なら、恐ろしい独裁者やテロリストとすら友達になろうとしそうで、かれんやくるみは開いた口が塞がらなかった。
か「私とも友達にならない?悪い人ではないようだし…美羽の友達なら、信用できるわ。」
弦「おう!いいとも!」
美「私が前にあなたとやったから、『アレ』は分かるわよね。」
「アレ」。またの名を「友情のシルシ」。弦太朗が友達になった相手と交わす儀式のようなものである。
握手をし、腕相撲のように手を握り直し、正面、上、下、と拳をぶつけ合う一連の動作を、弦太朗はかれんと行った。
か「何故かあなたがやると、とても意味の深い動作に思えてくるわ…不思議。」
普通の人がやったのでは動作を追加しただけのなんの変哲もない握手だが、何故か弦太朗がやると深みが出た。まるで、瞼に目を描くという古典的なギャグがレディー・ガガの手にかかれば一つのファッションと化すように。
どうやら彼には、人を魅了してやまない不思議な個性があるらしい。
同じような「個性」を持ったのぞみと意気投合したのも、必然なのかもしれない。
く「…あたしも、あんたさえよければなってあげてもいいけど?」
弦「マジか!おっしゃ!くるみ!それじゃあ、お前ともダチだ!」
今度はくるみと「友情のシルシ」を交わす。
さあ、続いてはりんの番…となった所に、こまちが余計なことを言った。
こ「ウフフ。りんさん、どんな関係も、まずはお友達から始めるのよ( ^∀^)」
どうやら「弦りん」を意識して言ったらしいが…これが思わぬ波紋を引き起こす。
弦「…………………………………………………………」
り「あの、それ、どういう意味ですか。こまちさん」
こ「どういう意味って…ただのお友達からもっと深い関係になることもあるじゃない♪」
バカ。知ってるくせに。何地雷踏んでんだ。そんな顔でかれんたちがこまちを睨むが、時すでに遅し。
り「…こまちさん…わざわざ人の心の傷に塩塗るなんて何考えてんですか!(>皿<)」
こ「あらら?私、何かマズイ事でも言ったかしら?」
マズイなんてもんではない。
もう何回目の説明だろう。
りんは、男運のなさに定評があった。
年相応の女の子らしく恋こそ多いものの、りんには今まで両想いになったことのある相手は一人もいなかった。
自分の好きになった男に限って、
既に「先客」がいてしかも結婚直前だったり、
幽霊だったり。
挙句の果てには自分を騙す目的で近づいてきた悪の組織の大幹部だったこともあった。
高校生、大学生になってもずっとそんな調子で、りんは失恋する度に「もう二度と恋なんてしない」と決意する…のだが、そんなことも翌日には忘れて誰かを好きになってまた失恋する。ひたすらそれの繰り返しだった。
しかも、この場にはいないが、のぞみとこまちには両想いの恋人が。
さらに春日野うららにも相手がいる。
かれんとくるみに至っては、なんと女同士で恋人(?)だ。
ちなみに、自分より一つ年上の知り合いの、お笑い芸人志望で何だか他人の気がしない男も、しっかりと彼女をゲットしていた。しかも中学生の頃からの仲だという。
見事に一人だけ仲間はずれで、年齢=彼氏いない歴絶賛更新中。
りんの前で、恋愛の話はもはやタブーとなっていた。
こまちはそのことを忘れていたのか、うっかり口が滑ったのか、それともわざとなのか、とにかくそのタブーを破ってしまったのだ。大変だ。
り「…お前らはいいよなあ…」
弦「?」
か「ああああ…」
別人格が乗り移ったように、りんはやさぐれ始めた。
り「自分がリア充だからいつまでたっても彼氏ができない私の悲しみが他人事ですんで…」
の「り、りんちゃーん…」
り「どうせ私なんか…これからもこれまで通り男に愛されずにしわくちゃのババアになって死ぬのよ…せいぜい私の分まで満喫してろー!クソッタレ共!」
酒も手伝ってか、人が変わったかのごとき口調の悪さになり、目つきは悪くなり、毒素を撒き散らすりんに、どうしたらいいか誰もが分からなくなった。
が、りんの荒れようにひどく心を痛め、手を伸ばそうとした男が一人いた。
京也だ。
厨房から料理を運んできた所で今の状況に出くわし、りんの心の傷を目の当たりにした京也がとった行動は、もはや恋する男という生物の本能に基づいたものだった。
京「…りんさん…そっか…だったら…僕が最初ですね。」
り「……はあ?」
少しずつ京也はりんとの距離を詰めながら語りかけた。
賢「?」
く「…ちょっと。何の話?」
京也の言っていることの意味を察知したのは、流星だけだった。
流(…なんだ、思ったより早く来たな。)
京「僕が…僕が、りんさんのことを好きになった、最初の男ってことです!」
(´<_` )
(´Д`)
(゚д゚)
(・□・;)
(゜д゜)
眼前に迫った京也の言葉に、その場の一同は言葉を失う。
台所からの、ジュー、という音だけが響く沈黙が破られたのは5秒後だった。
一同『えええええええええええええええええええええええええ!!!??(((゜Д゜;)))』
ユ「う、嘘!これって、愛の告白?!」
賢「お目にかかるのは初めてだな。」
隼「…美羽♪(*´ω`*)」
美「隼はちょっと黙ってなさい!(`Д´)」
友「…(*´∀`*)流星さ~ん♥」
弦「おいおい、なんつータイミングで告ってんだ。」
こ「あら、怪我の功名ね( ´▽`)」
か「いやいや、こまち。あなた、棚上げしちゃだめよ。」
く「…………(そういえばあの京也って奴の顔、どこかで見たことあるような…ないような…)」
流(…今このタイミングで告白か…相手の精神状態は最悪。さあ、この危機をどう乗り切る!)
あまりに突然の出来事に、りんは酔いから醒めてしまった。
り「…何?」
京「もう一度…言います。僕は…僕は…りんさんのことが…好きです!!」
再び京也のオスの雄叫びが木霊する。
り「…………へ?」
京「よかったら…僕と…恋人になってください。」
言った。勇気を振り絞って、静かに、一世一代の愛の言葉を紡ぎ出した。
当然、りんは告白などされたことがないし、自分が恋愛の対象として見られるというのを半ば諦めていた。
ほんのりと頬を染め、戸惑った顔を見せるりんだったが、その直後の返答は皆を失望させた。
り「…へ~、百鬼くんってそういう冗談言ったりするんだ~…慰めようとしてくれてるのは嬉し
けど…本気でもないのにそんなこと言われると却って傷つくな…」
どうやら冗談だと受け取られたらしい。
京也からすれば心外だ。
しかしショックを受けている暇はない。
京也は少し語気を強めて言った。
京「冗談なんてとんでもない!僕は本気だ!」
最初のガードを崩したものの、りんはまだ疑っていた。
り「…アタシ…うららみたいなアイドルでもないし…こまちさんみたいに胸も大きくないし…のぞみみたいに明るい性格でもないし…いい所なんか一つもないわよ…?」
京「そんな理屈は関係ない!だって、一目惚れなんだから!初めて会ったあの時から…りんさんのことが好きです!」
もうこんな機会はないかもしれない。その思いが京也を動かしていた。
その思いが生み出す強い押しでガードは完全に崩れた。さあ、カップル成立…と思いきや。
り「…嘘。」
まだ疑うのか。俯きながら呟いたりんに、美羽が怒って思わず文句を言おうとした。
美「ちょっと!何なのよあなた!京也がそこまで言ってるのになんで…」
隼「美羽、よせ!」
これは京也とりんの問題だ。第三者である自分たちが介入してはいけない。
隼は目線で美羽にそう言った。
ごもっともだ。我に返った美羽はすぐ引き下がる。
と、京也が一瞬顔を険しくした次の瞬間!
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ズキュウウウン
荒木飛呂彦ならそんな効果音を挿入していただろう。
その場の誰もが硬直する光景が一同の目に飛び込んできた。
京也はりんに掴みかかり、唇を奪っていたのだ。
J「や…」
友「やった(゚O゚)」
さすが京也!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!
京也に取り巻きでもいればそんなことを言っただろう。
そんでもってこの小説が映像化されれば、演者は「このセリフをいい加減な気持ちでやったらファンの皆を敵に回すことになるよ」とくぎを刺されただろう。
が、京也に取り巻きなどいない。
代わりに、この場に居合わせている一同が固唾を飲んで、何も言わずに見守っていた。
さあ、りんはどう出るか。誰もが二人にくぎ付けになるが…
ピシャンッ
………………………………………
り「…信じらんない!レディに無理やりキスするなんて何考えてんのよ!」
京也の頬を右手の平ではたき、りんは京也を振りほどいていた。
突然ファーストキスを奪われたことに一瞬戸惑ったが、その顔はすでに激怒の表情になっていた。
り「…帰る。」
もうこんな場所にはいたくない。りんの目はそう言っていた。
か「りん…まだ料理が全部出ていないんだけど…」
り「帰るって言ってるでしょ!」
そう言い捨てて、りんはお茶会を後にした。
そしてこの3日後、
さらに二人の仲を引き裂くことになる大事件が起きるのだが…その話は、後日。
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りんちゃんのやさぐれ状態は地獄兄弟のモノマネをしてる感じで脳内再生してくださいw
ここで、私は眠いので続きを転載するのは明日。お楽しみに。