「ハピネスチャージプリキュア」の世界の「ウリ」は、世界中にプリキュアが居ることでした。
ハワイにはキュアサンセットとキュアウェーブが。
アメリカにはボンバーガールズプリキュアが。
フランスにはメルシィプリキュア。
インドにはワンダフルネットプリキュア。
エジプトにはキュアナイル。
オーストラリアにはキュアサザンクロス。
そして日本にはハピネスチャージプリキュアとキュアテンダー。
世界のプリキュアたちは100人を超えるということが判明しています。
ひめといおなが買い物に行く話で出てきたお菓子のパッケージに書かれています。
そして何故100人以上ものプリキュアが居る(要る)のか。
それは、幻影帝国が全世界に存在を認知されており、現在進行形で世界中にその魔の手を伸ばしている人類の敵だからです。
そして彼らは、ターゲットに定めた土地をサイアークの毒(?)によって自分たちに住み良い(そして人間が生活することの出来ない)状態に変えていきます。
…この設定、ちょっと似てません?
映画「パシフィック・リム」の、「KAIJU」に。
KAIJUも、猛毒の体液「KAIJU BLUE」を撒き散らして、地球の大地を侵略者にとって住み良い状態に塗り替えるのが目的の生物兵器でした。
サイアークも、やっていることは要するにKAIJUと同じです。
そしてKAIJUの場合は、半年に1回、3ヶ月に1回など、出現するペースは年月と共に早くなってきたものの、
「一度に一体しか出現しない」
「太平洋の海底からやって来る」
「一度出て来るとしばらく出て来ない」
という特徴が有りました。
「一度に一体しか出現しない」
「太平洋の海底からやって来る」
「一度出て来るとしばらく出て来ない」
という特徴が有りました。
一方、サイアークと、それを召喚する幻影帝国の幹部はどうでしょう?
複数人の幹部が、複数の地域を同時攻撃しているのが普通でした。
しかも、幹部1人でサイアークを複数同時に作ることが出来るいうことも明確に描写されています(お祭り回でのオレスキー等参照)。
…あ、そうそう。ナマケルダとホッシーワが同時にピカリが丘に現れたこともありましたっけ。
更に、瞬間移動して現れるので、どこからやって来るか分からないという特徴もあります。
そして、毎日のように世界を蹂躙し、どこかを不幸のエリアに変えて行きます。
ある意味、「仮面ライダークウガ」のグロンギよりタチが悪いです。
このように切迫した世界で、あなたは「いつも通り」の暮らしが出来ますか?
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) 出来るわけがないだろ
| ` ⌒´ノ 常識的に考えて……
. | }
ヽ ノ \
/ く \ \
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| |ヽ、二⌒)、 \
では、「ハピネスチャージ」の世界で、人々はどのように生活しているのでしょうか?
町の片隅が侵食されているのに、「プリキュアが何とかしてくれるから大丈夫」と、町の人達は呑気に構えています。
ファントムが世界中のプリキュアを狩って廻っているのをテレビのニュースで見ためぐみたちは、またファントムに襲われる危険もまともに考えずに潮干狩りに行きました(そして案の定やって来たオレスキーに襲われました)。
サイアークの素体にされる危険があるにもかかわらず、1人で出歩いている人も普通に居ます(第一話の真央ちゃんとか)。
幻影帝国がどこから襲って来るか分からないことで怯えている一般人の描写も、全くありません。
突然現れたサイアークに商品を台無しにされるリスクがあるのに、飲食店が普通に営業しているし、文化祭は普通にやってるし…
ハッキリ言います。
地域によっては紅蓮の炎に包まれていたりする場所もあるのに、日本が、自分の住んでいる町が同じようにならないという保証は、どこにもありません。
そんな世界で、めぐみたちは夏休みには合宿を楽しみ、ハロウィン仕様に飾り付けられた町で食べ歩きをし、クリスマスにはいつも通り開催されているクリスマスセールで買い物を楽しみ、河川敷へピクニックに行きます。
世界のどこかで追い詰められているプリキュアを放ったらかしにして、です。
いおながファントムによってプリキュア墓場に送られた時には、めぐみたちは力を合わせてファントムを倒しました。封印された海外プリキュアの「コレクション」たちには一切目もくれず、気にもかけず、です。
…めぐみたちには、彼女たちがその辺の石ころにでも見えたのでしょうか?
そしてもう1つ。
「人々の生活が普通すぎる」のに加えて大きな違和感を生み出しているのが、この疑問です。
「そんなヤヴァイのがウジャウジャ居るのになんで国連は何もしないわけ?」「警察や軍隊はプリキュアにサイアーク退治を丸投げしてて、何も感じないの?」
エトセトラ、エトセトラ、一言で強引にまとめるなら、こうなります。
「大人は何をやってんだ!!!」
国連があって、警察があって、国家があって、司法があって、産業があって、経済があって…それらに囲まれて人間が生活しているのが現代社会です。
それこそ、「ハピネスチャージ」の世界でも、幻影帝国という差し迫った状況を前に、対サイアーク用兵器なんかの開発に携わっている人が居てもおかしくはありません。
「パシフィック・リム」の世界の科学者たちが、人型巨大ロボット兵器「イェーガー」を生み出したように。
政治家たちがKAIJUという人類共通の脅威を前に、全ての国家間の対立を停止させ、環太平洋防衛軍、通称「PPDC」を発足させたように。
公然の存在として敵が認知されているなら、プリキュア以外の誰も何の行動も起こさないのは、世界として、社会として破綻しているのです。
で、劇中で描写された数少ない「大人」は、せいぜいめぐみたちの両親、増子さん、そしてブルーさんくらい。
そしてこれらの中で、まともな大人とちゃんと評することが出来る人は、殆ど居ません。
まず、増子さん。
彼女は、
バスタオル状態にされて封印されるプリキュアたちをお茶の間に晒し、取材許可をもらっているとはいえピカリヶ丘中学でめぐみたちを付け回し、
挙句の果てにめぐみの家に勝手に上がり込んでいました。
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/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) これって許されちゃダメだろ
| ` ⌒´ノ 報道倫理的に考えて……
. | }
ヽ ノ \
/ く \ \
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| |ヽ、二⌒)、 \
↑本日2度目のやらない夫
親たちについては、出番が片手で数えられるほどしかありませんでしたので、評価する材料も少なすぎて評価は難しい所です。
まあ取り敢えず、「あんたいい加減にしなさい。警察呼ぶわよ」とかそれくらいのことは増子さんに言っても良いんじゃないですかねぇ、かおりさん?
そしてハピプリを好きな人にも嫌いな人にも嫌われる、自称地球の神「ブルー」。
ここで彼の悪事をざっとまとめておきましょう。
Ⅰ ミラージュを振り、悪堕ちした間接的な原因になった
シャイニングメイクドレッサーが誕生した回にて、彼が明かしたミラージュとの因縁がどのようなものだったか、ご記憶でしょうか?
「自分は300年ほど前にミラージュと一緒に戦って、巨大な悪を打ち倒したのを経て恋人同士になった。しかし、全てを愛さねばならない地球の神としての立場があるので、自分から振った」
と、このように供述しています。
…ぶっちゃけ、この理由ってどうよ?
だって、ミラージュの気持ちを受け入れて恋人同士になる前から、なってからも、
彼が「全てを愛さねばならない地球の神」であることには変わりないんですよ?
彼が「全てを愛さねばならない地球の神」であることには変わりないんですよ?
なのに、なあなあで相手の気持ちを中途半端に受け入れておいて、
後から急に「全てを愛さねばならない地球の神」になって一方的に別れたんですよ?
後から急に「全てを愛さねばならない地球の神」になって一方的に別れたんですよ?
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/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) 最初から断るべきだろ
| ` ⌒´ノ ミラージュの気持ち的に考えて……
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ヽ ノ \
/ く \ \
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| |ヽ、二⌒)、 \
別れたくなった途端に「神様になった」ブルー。
これって、一度は気持ちを受け入れた相手を振る理由としては考え得る限り最低ではありませんか?
そしてそのことに関して、ファントム初登場の話では「全ての不幸の原因は僕にあるのかもしれない…」などとほざくあるさま。
はいはい、かあいそうでちゅねー。「可哀想な自分」に酔った(違う意味で)可哀想な人ですねー。
………………
自分が全部悪い癖に悲劇の主人公を気取るな、この最低男め。
Ⅱ 幻影帝国の相手をプリキュアたちに丸投げし、自分では何もしない
自分で本当に全部やれとは私も流石に思いません。
しかし、プリキュアたちの保護者・司令官的ポジションとしての青髪についても、私は大いに不満があります。
まずさっきも言いましたが、前提として、
「ハピネスチャージ」の世界では各国にプリキュアと名の付く戦士が100人以上居ます。
彼女たちは全員、青髪がばら撒いた「愛の結晶」を拾った(あるいは命中した)女の子が
覚醒したものだという設定です。
しかしこの設定、ぶっちゃけ言って私は嫌いです。
世界レベルの悪事を働いている幻影帝国に対抗して、
まともに戦うことが出来る唯一の存在であろう「プリキュア」という戦士たちが、
若い女性でなければいけない理由は「物語上の理屈で(コレ重要です)」全く示されていません。
これが、私の中で大きな違和感になっています。
それこそ、仕事にあぶれてその辺で腐っている、路上生活を強いられている人たちを
スカウトしてサイアークと戦わせても、物語的には何の問題もありません
(それだったら番組としてプリキュアの看板を担ぐ意味がなくなりますが、メタ視点の入ったツッコミは受け付けません)。
ついでに言えば、今までのプリキュアには
「目の前の敵と戦えるのは自分たちしかいない。自分たちが目の前の敵に負けたら世界が終わる」という
一種の緊張感がありました。
しかし従来とは違って、「ハピネスチャージ」の2人(のち最終的に4人)や
世界のプリキュアたちはどうかと言いますと…こう言ってはナンですが、世界観上での位置づけは「幾らでも代替可能な有象無象のチームたちのone of them」に過ぎません。
そんなの「ヒーロー」じゃありません。ただの「兵隊」です。
そして肝心の本人は何をしてるかと言いますと…大使館に閉じこもって、お茶飲んでます。
後は、確か1回インドのプリキュアに挨拶しに行ったついでにカレー粉買いに行ってたっけ。
あとは、めぐみたちの合宿に付いて行った以外でピカリヶ丘から出た描写は特に存在しません。
…お前全世界のプリキュア管轄する立場なんだから1つのチーム依怙贔屓しちゃダメだろ。
それに、ミラージュを説得しに行く行く言って行かないし、
ラブリーVSミラージュの戦いではミラージュに縛られたままボーっとしてましたし…バリア出せるんならせめてサブ盾くらいやれよ。
Ⅲ ファントムのことを、めぐみたちに一言も伝達しない
Ⅳ ファントムに封印された海外のプリキュアを気にかける描写が全くない
まとめて説明します。
前述の敵「プリキュアハンター ファントム」は、それこそ映画「マトリックス」で喩えるとエージェントのような
「戦ってはいけない相手」であり、「出会ったらとにかく逃げなければいけない相手」です。
そして彼がスカウトして戦場に送り出した少女たちの中には、ファントムによって幽閉状態になった子もいます。
そのファントムの存在を、あの青いのはめぐみたちに一言たりとも伝達していませんでした。言う機会が3ヶ月はあったのにもかかわらずです。
青春時代を根こそぎ奪われる可能性すらあるこの敵のことは、普通に考えたら何としても伝えなければならないでしょう。
そしてファントムは圧倒的なパワーを持ち、負ければ鏡棺桶に封印されます。
当然、そんな状態では社会生活も送れません。表向きでは、彼女たちは蒸発したことになります。
どうやらファントムが棺桶状態にして閉じ込めたプリキュアは、
本人曰く「意識を保ったまま悪夢の中を彷徨い続ける」らしいですが、
元はと言えば、彼女たちは青髪が自分でスカウトした「兵隊」たちです。
キュアナイルやエコーのそっくりさんがエターナルゲージなる技を受けて封印された時、彼は何かしたでしょうか?何もしていません。
バリアを張ることくらいは出来るのに、現場に急行してやられそうなプリキュアの為に逃げる時間稼ぎをするとか、
それくらいは出来るであろうものを、そういうことも、まったく何もしていません。
鏡があれば一瞬で地球の反対側にだってポンと行ける、クロスミラールームという「どこでもドア」的なものがあるにもかかわらず
です。
世界のプリキュアの家族や知人たちからすれば、ある日突然自分の家族・友達が蒸発したことになり、彼ら彼女らの心に深い傷が付くのは明白です。
その世界プリキュアやその家族・友達の為に彼が何かしたという話は、劇中での描写を見る限りでは一切ありません。
ニュースでその光景を見ても、彼はまるで対岸の火事を見ているかの如く、平然としています。何か手を打とうとする描写もないです。彼女たちの家族・友達のために何か補償をするとか、そういう描写・台詞も全くありません。自分がかつてスカウトした「兵隊」たちに、あまりにも冷たい。
まるで使い捨てのアリコマンド扱いです。彼の行動は、極めて無責任であり、正義の味方のすることとは到底思えません。
Ⅴ 「全てを愛さねばならない地球の神」の癖に,これ見よがしにめぐみに粉をかけて誠司のSAN値を削り続けた
さっきも言いましたが、何故か彼はひめの隠れ家を兼ねる日本のブルースカイ王国大使館に常駐しており、その大使館に閉じこもって基本的にお茶飲んでます。
1回インドのプリキュアに挨拶しに行ったついでにカレー粉買いに行ってたのと、めぐみたちの合宿に付いて行ったのと、幻影帝国とのラストバトルでブルースカイ王国に向かった時以外、描写されている限りではピカリヶ丘から一歩も出ていません。
ハピネスチャージプリキュアの3人(後に4人)にベッタリな青いやつですが、彼はファントム初登場時のめぐみへのハグを皮切りに、何かある度にめぐみを依怙贔屓し、アナ雪に便乗するつもりなのか「ありのままで君は良いんだよ」と気持ちの良い言葉を並べ立て、思わせぶりなモーションをかけ続けました。
その後も、めぐみが風邪を引いた時は誠司が持って来た氷枕を取り上げて自分が持って行ったり、タイミングを見計らったかのようにめぐみを密室に連れ込んだり(これは親御さんからクレームが来たそうです)。
しかもそんな展開を、めぐみに想いを寄せている誠司の目の前でこれ見よがしに展開しました。
誠司の視点から見れば、日常も幼少から連れ添った異性も、全て奪われる、悪夢以外の何物でもありません。
「誠司を悪堕ちさせたレッドの方が正論を言っている」というコメントを方々で拝見していますが、
青紙と、彼との火遊びにうつつを抜かすめぐみの態度が、誠司のSAN値を削り続けたのは明白でしょう。
話が横道に大いに逸れましたすみません。
…このように、「ハピネスチャージ」の世界は仮にも現代社会と限りなく近い世界で、
ワールドワイドな設定の下で展開されている、大人の介入の余地がある世界…にもかかわらず、それらと実際の描写が大幅に乖離しているのです。まともな大人も、殆ど居ません。
これを「欠陥」と呼ばずして、何と呼べば良いのでしょうか?